大地とママのアップルパイ




DATA:
Cafe MATSUNOSUKE
075-253-1058
京・中京区高倉通御池下ル
火〜土 10:00〜22:00
日・月 10:00〜20:00
無休
 
収穫の秋。
今日、心待ちにしていたアップルパイの季節が、来ました!
愛してやまないカフェ「まつのすけ」(この店名のセンスはいかがなものかと思うのだが・・・)のアップルパイ。これがー、本当にうまいのだ。りんご「紅玉」の季節だけ作るのだよ。日本一おいしいアップルパイかもしれない。
ためし焼きの本日はりんごが少し酸っぱめ。これから来年の春まで、りんごの変化を、味わおう!

今日アップルパイのよろこびを共に味わった市民から、特別寄稿です。「パチャママ」というのは、インカの言葉で、母なる大地の神のこと。すべてを与え、生かしてくれているすべてのことを「パチャママ」というんだ。
これまで食べてきたアップルパイとは何だったのか? 自分がいままでアップルパイだと思っていたものと、これは同じものなのか? これこそ「アップルパイ」であって、今まで食べてきたものは何か別の名前で呼ぶべきではないか…そんな気持ちにさせる一皿でした。

その甘みとうまみは、舌と口のなかを越えて、心の深いところにまで沁みわたる。この気持ちは何なのだろう? それはおそらく、世界に対する基本的な信頼の感覚である。「この世にあるものはうまいのだ」という強烈な感情。あるいは抵抗することのできないほど、世界に誘惑されてしまうこと。何かを世界へと期待し、それを得たいという気持ちに満たされると同時に、それが世界によって与えられていることへの感謝の感情。

子どものときケーキを口に入れると、口のなかに拡がる甘みとうまみが、周囲の景色や気持ちのすべてを溶かしてしまった。ぼくはケーキとひとつになっていたのだ。しかし時は流れた。たくさんのケーキが舌の上を溶けていったあとには、そんな気持ちになることも少なくなった。甘みやうまみに飽きてしまったのか? 小さいころはどんなケーキでさえ、魔法の力をもっていたのに…

しかし違う。現代にも、そして大人にも有効な魔法のケーキは存在する。嘘だと思うなら食べてみてください。リンゴの季節にしか作っていないので、秋から春までしか食べられませんけれど。京都に住んでいてほんとうによかった。リンゴを焼いたときに生まれる甘さとはこういうものだったのか。粉とバターをこねて焼くとこんなにおいしいものができあがるのか。数々の驚きとともに、小麦を粉に挽くことを最初に発明した大昔の人類、牛、そしてパチャママに対する言いようのない感謝が湧きあがる。お皿の上の奇跡である。(市民)





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