京都御所の正面の門から少し南に下がったところに、
この和菓子匠はあります。
松屋常盤,、御菓子調進所。
住所には「平安京堺町御門南入」と。
うーむ。平成の世に、平安京ときたか。
美しい包み。
箱を紙で覆って、上下に紙のリボンをささっと括りつけただけ。
セロテープなんて野暮なもの、使いません。
草履を作る祇園の、いや日本の名店「ない藤」もこんな包み方をしておりました。
よい和菓子やさんは、生菓子は予約のみの生産であることが多く、
やはりこの店もそういうシステムです。
「きんとん」がおいしいという噂をききつけ、来客予定に合わせて予約してました。
これがその「きんとん」。季節によって、材料が変わります。
今回のは、たぶん全部豆。
上から、濾した鶯豆、白豆、小豆、かと。
で、真ん中に餡子が入ってます。
すんごい、ウマイ!!!
きんとん部分も、餡子も絶品。
やわやわです。
大きさもけっこうボリュームあり。
松屋常盤、京都の最もすばらしい和菓子やさんかもしれん。
夕暮れの御所。
ベンチで箱を開けて感動してました。
松屋常盤は、店の雰囲気もちょっと凄かった。
建物は新しくされていて、落ち着いた和風のビルなのだけど、
白いのれんをくぐり、質のよい木で作られた戸を開けると
中は土間および一段高い畳の間になっていて、じつに薄暗い。
夕方生菓子をピックアップに来る人はいないようで
私の分のお菓子だけがきれいに包まれてぽつんと置かれていました。
こんにちはと声をかけると
おいでやすと奥から静かに店の主人が出てきました。
主人は正座してお菓子をしずしずと差し出してくれました。
こちら側に座布団と昔煙草道具一式が置かれていたので、
私も畳に腰をかけて、お菓子を受け取りました。
重々しい。
でも、悪くない。
後日、今度はこの店の定番である「味噌松風」を買いに行きました。
こちらは生菓子ではないので、いつでも大丈夫。
で、家庭用の「切れ端」をお願いしました。
パンの耳みたいのを想像していたのだけど、予想に反してかなりの固まりでした。
500円なり(安い!)。
味噌味のどっしりした和風カステラのような、蒸しパンのような。
そんなお菓子です。黒胡麻がのってます。
おいしい。
向田邦子も好物だったとのこと。